| '02/07/21〜'02/07/25 | |||
| メンバー |
リーダー ビデオ記録 |
黒田 幸男 市村 晃 (記) 斎藤 健郎 | |
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長い梅雨の時期は本流の大ヤマメを求めてイブニングの釣りに没頭した。 気の早い台風が日本列島を二度も通過して、ジメジメした空気を浚って行くと一気に暑さが支配する。さすがのヤマメも深い淵に身を隠し、イブニングの遊び相手もままならない。都会の温暖化に嫌気を差した友人達は次々と海外や渓流に避難する。こうなってくると山岳源流の向こうにある地に気持ちが傾き、頭の中をゴダイゴのガンダーラのBGMが流れる。 「そこへ行けば〜どんな夢もかなうと言うよ〜」の言葉通りにそこには楽園が待ち受けているのだ。翌日からは候補地探しと体力作りに専念する。40歳をまじかにした体ではさすがに30キロ近い荷物と長いアクセスは堪える。近場で魚の居る場所を源流の師匠クロちゃんに相談。答えは即答〜限りなく北へ向えであった・・・ 深夜から7時間以上掛けて岩手に到着。大河北上川に沿って岩手山を目指す。 北上川では人気ポイント渇根田川、雫石川と魅力的な川の誘惑を振り払い、(数多い猛者の中からトラウトを釣る自信が無いのです)。 なるべくマイナーな河川へと標準を絞り込み、山の素人では入り込めない源流を選択。舗装道路終点のダム湖からは胆沢川の支流に沿った林道を車止めまで四輪駆動の力を借りてひたすら上り詰める。沢筋終点近くの広場に車を止めて文明の利器とは無縁の世界に入り込む。ここからは己の力だけが頼りの野生の一員として4日間の生活が始まる。 良く整備された登山道からゼンマイ道に入り込むと夏場の良く伸びきった草木が道を阻み、度重なる藪漕ぎが体力を奪ってゆく。普段なら釣れる保証の無い場所に向ってロッドを出す事無く一日中歩くなどと言う、大きな賭けはやらない性分だが、苦労の向こうで待つ楽園がみんなの足を一歩一歩、持ち上げる。一週間も前からガンダーラのBGMが頭の中を支配しているのだから平常心は完全に麻痺状態に近い。 5時間近く掛けて直登に近い山道を這い登り、やっとの事で尾根道に到着。 稜線一面に広がるブナの森の隙間から目指す楽園が微かに見えるとみんなが声を合わせて歓喜する。山での掛け声はやっぱりヤッホ〜が定番。 新鮮な空気の中で一年間溜まった毒素が完全に消え去り、不思議と体も軽くなる。 ブナの森をカモシカのように駆け下りると楽園の入り口到着。 辺りは既に紅く染まりかけている。昨夜から一睡もしないで歩いた疲れがどっと押し寄せる。高台にベースとなるビバーク地点を急いで設営して深い眠りに付いた。 ![]() 楽園の朝は早く訪れる。せっかく苦労をしてたどり着いたポイントで昼まで寝ていたのでは、先を越されるとみんなが心配しての早起き。薄曇の天気ながら雨の心配は無さそうだ。ブナの間を流れるこの川の水は透明で、底石は生命感あふれる紅いコケが川一面に広がり水性昆虫たちを育んでいる。心配された減水も豊かな大地が淡々と水を吐き出し、冷たく新鮮なナチュラルウオーターを私たちに供給してくれる。初めてロッドにラインを通し、源流定番のテレストリアルの中からアント#10のフライを糸先に結び付け源頭目指して出発。冷たい水に足を一歩入れるたびに何匹ものトラウトが上流目指して走り出す。 辺りには秋アカネが沢山飛び交い楽園に居る事を実感させてくれる。 心配していたボサもなく広々とした河原では私のヘナチョコキャストでも十分通用した。第一投めから沢山のトラウトがフライを追って飛びつき、パックロッドを撓らせる。あまりのトラウトの多さに魚だけに心が行って、キャストがおざなりになる。激しく水面を叩くと見張り番のチビイワナが上流目指して走りぬけるとイワナは一斉に身を潜めた。これの繰り返しでは、暫し沈黙が訪れる。 これに見かねた源流の師クロちゃんが、アプローチの手ほどき。擦れたトラウトを釣るには一つ下の瀬から上流の瀬尻に向って静かにパラシュートキャストを落とすんだよと。その姿はまるで忍者さながらに岩や木の陰に身を潜め、手前から最奥にある淵に向って丁寧にフライを一投げでポイントに入れる。この術に見事に騙されたトラウト達はクロちゃんの手元に引き寄せられては素早く流れに戻され、何事も無かったかの様にまた瀬に戻って泳いでいる。参考の為にと30cmを越えるイワナにストマックを入れると、河原で飛び交う秋アカネでポンプが詰まる。 今回トンボスペシャルがフライボックスに無い事に後悔しながらもありあわせの特大ブナ虫#6で快調にイワナを釣り上げる事に成功。ビバーク地点付近のイワナはまだ放流モノと思われる日光イワナが大半で本来東北で釣れる白い斑点が綺麗なエゾイワナの割合は少ないが、一淵一匹の世界に初めて遭遇すると言う幸運の中、1日を楽しく過ごす事が出来た。 二日目以降は、エゾイワナ一色のネイティブを求め、さらに源頭の沢を目指す。この時点で完全にイワナマスターに変貌していた私も、快調に一淵一匹の世界を堪能する事が出来た。日ごろ不慣れなイワナの遅い合わせも自然が手ほどきして教えてくれていた。と言うよりは完全に向こう合わせの状態でトラウトが掛かってしまう。全ての落ち込みから白い斑点が眩しいエゾイワナが何らかのアクションを示し、気温の上昇するお昼前後には白泡の中にブナ虫フライを入れ込めば30cm近い大きなイワナがロッドを撓らせる。巨大な一枚岩のスラブが両岸イッパイに張り出すポイントでは竿を畳んでエスケープ。たまには泳いだりウオーターシャワーで火照った体を冷やしながら上流を目指す。 楽園の終点で僕らを待ち受けていたのは30mを越す大きな滝。 この場所では、滝壷から30cmアップのネイティブイワナも顔を見せる。この滝を高巻いて上流を目指そうと意気込む仲間も居たが、楽園の終点にふさわしいこの場所が今回の源流遠征の終わりとなった。 | |||
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| 記 市村 晃 | |||